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王宮に入るには許可証が必要だった。
偉い人の紹介が無ければ入れないらしく、クロノもきっと門前払いされたのだろう。
☆探す宛がない。クロノとは行き違ったのかもしれない。私が途方に暮れていると教会の鐘の音がした。教会といえば迷える子羊だろう。クロノも迷える子羊としてそこにいるかもしれない。
〜マノリア修道院〜
教会に行くのはこれが初めてだった。
正式名称マノリア修道院。
高い屋根に、広い教会。
天井の宗教画を詳しく見ようとすると首が疲れる。
パイプオルガンは高さ10mはあるだろうか。
参列者はまばらで、数名の修道女が祈りを捧げていた。ステンドグラス
陽日の当たらないところはランタンからの明かり、
目につくもの初めてで、新鮮な気持ちになる
ステンドグラスが放つ光が地面を染めていた。
「何かしらこれ?」
陽が少し傾き、照らされたなかった地面が明るくなり、何かが反射した。
首飾り?いや髪飾りか?
誰かの忘れ物かもしれない。
私はそれを拾い。修道女の1人に渡した。
「あの…落し物ですけど…」
修道女は軽い礼をすると、髪飾りを持ち奥の部屋へ向かった。しばらくしてもクロノがここへ現れることはなかった。クロノは既に囚われの身になっていた。
クロノはマール探しに協会に訪れた際、マールが見つかるように神に祈りを捧げていた。その隙に修道女に成り済ました魔族に襲われ、食糧として奥の部屋に連れて行かれていた。
〜カエルお化け〜
クロノ!たしかに王妃様の部屋から一人で出てきた筈だった。なのに王妃様の部屋はもぬけの殻。誰も王妃様の出入りを目撃していない!
クロノ!怪しすぎるぞ!
初対面の癖に王妃様に対しても馴れ馴れしかった!まさか妖術で王妃様を拐かした?王妃様をどこへやった!
カエルは王宮から逃げるように出ていったクロノを追いかけていた。
「あの赤髪が誘拐犯であれば、きっと王妃様の元へ向かうはず」
カエルはクロノの尾行し、教会まで来ていた。壁を這いずり、こっそりと魔族らの死角で監視する。クロノが拉致られたのを見て、カエルはここが魔族の拠点と気付いた。応援を呼びに戻った。