クロノはスマホを売り払って買った剣ファルシオンを二刀流で戦っていた。
ルッカ視点(性格好奇心)兵士への説教。マノリア修道院まで〜クロノトリガー
マールが消失し会場がどよめいた
私のブースを担当している警備員も唖然としていた。
マスコミは大量のフラッシュを焚いている。
「え…会場のミナサマ…。只今の現象は機械操作ミスによるもので、テレポッドに乗りました彼女は現在遥か遠くに転送された模様で…。」
嘘八百だった。テレポッドに長距離転送する技術はない。もし機械的に失敗する事があるとしたら最悪の可能性としてワープの出口が地面の中だったり壁の中だったりで対象物が粉々に砕けてしまうことだけれど、その可能性は万に一つも起こらない様に検証を繰り返してきた。けれど億や兆の確率まで考慮したなら『絶対大丈夫』とも断言できなかった。にも関わらず、長距離次元転送可能だ等と嘘こいてしまった。保身の為とはいえ、嗚呼、どうしようどうしよう…
わたしは絶望しきっていた。冷や汗ガクブルで脇下に汗びちゃり。首をくくって死にたい。今すぐ走る車にでも飛び込みたい。
焦る私の一方で、クロノはテレポッドのスイッチを入れ乗りこんだ。
☆
自殺行為ともいえる勝手な行動にパニックしていた私は急いで電源ケーブルを斧で切断する。無電力なのにテレポッドは作動し続ける。
焦る反面、マールが落としたペンダントを持っているクロノを見て一か八かこれしかないとも思った。
「えー、今からその消えた少女を探しにアシスタントのひとりが行って参ります。会場の皆様、二人の帰りをお待ちください〜。」
焦った為に行動に矛盾あり。マスコミへの説明が中途半端だった事は否めない。クロノが転送された後、携帯に電話が掛かってくるのを期待したが掛かって来なかった。
やむおえず携帯を耳に当てて
「あーもしもし。え?転送先は隣の国のノルウェーって事でいいのね?はいはい、分かった。じゃあ、無事に帰ってきてね!」
うまく誤魔化したと思う。
☆
ルッカはマスコミを放置し、急いで次元の穴を探索するドローンを開発した。まず向こう側の安全を確かめない事にはどうにもできないだろうから。
☆
ドローンを操作し穴の先に視界に広がる。
森、見覚えのない土地
クロノとマールはどこにいるのだろう?
その場にいてくれれば、このままドローンと共に引っ張り上げるのに。
しかしドローンがGPSの座標を拾ってくれない。何度か確認するものの機器が故障している訳ではない。
GPSが座標を取れない地域なんて存在しない。何らかの妨害電波があるなら別だが…
クロノが落としていった不思議なペンダント。その鉱石の波長を分析して再現可能な装置ゲートホルダーを作った。このゲートホルダーにはテレポッドの仕組みも付与していて合わせて起動すると次元の裂け目が生まれる。元々テレポッドのシステムは大量の電気を食う仕組みだったが、このゲートホルダーで生まれる次元の裂け目については、ほんの僅かな電気で再現可能だった。何度かの検証を繰り返し、ゲートホルダーは次元の向こう側からも機能し、こちら側へと行き来きできると分かった。だが何故かペンダントだけは次元の穴を行き来きする事できなかった。
☆
マスコミが注目している中、次元の裂け目に電気コードが伸びている。10mケーブルの先はドローンの中継器と繋がっていて電波を飛ばしている。
ドローンは森を抜け上空30mを飛行していた。
「え?ガルディア城?」
ワープの出口が見知った地域トルース山だったので安堵した。だが疑問が残る。近場だとしてGPSや携帯の電波が届かない事の説明がつかないからだ。
しばらくドローンを動かし、映像を観ていると、古い町並みが映る。そこは自分達の知る世界とは似て非なるものとしかいえなかった。
異世界、あるいはタイムトラベルの疑惑。クロノ達は何らかのトラブルに巻き込まれた可能性がある。
『行ってみるしかない。』
クロノが消失してから4時間が経過していた。クロノと少女の行方がハッキリしない事にマスコミも違和感を覚え、攻めの追求が始まっていた。
しかし説明している時間が惜しかった。ゲートの開閉は科学的に説明しきれない。この自然現象が気まぐれによるものなら、あるいは直ぐに消えてしまうものなら一刻を争う。
マスコミの質問を振り切りゲートへと飛び込んだ。
ブースを担当している警備員は訳も分からないまま、行儀の悪いマスコミを押さえ続けた。
☆視界に広がる森、ジャリー3体はゲートからでて来るいろいろなもに気付いて見張っていた。
☆
ゲートから出て直ぐ、林の奥で草が揺れた。
「クロノなの?」
良かった。探す手間が省け…
そいつらは私を狙ってた。
ヨダレをたらしながら、私を囲みじりじりと迫っていた。
コスプレマニアとかそういうんじゃない。暴漢にしても形がおかしい。
GPSが通じない事。ありえないとは思ってたが、もしここが地球外であればエイリアンの存在はありえることだった。そしてガルディア城が見えるという事は似て非なる世界、パラレルワールドである可能性。不安と科学者としての好奇心が一体となってせめぎ合う。
エイリアンから逃げて元の世界に帰る事もできるのだが、私はとっさに護身用の銃…もといエアガンを構えた。
「こっちに来ないで!」
言葉が通じるのか否か、いずれにせよ生き物に向かって撃ったことなんてない。
相手からの返答に期待しつつ、怯えながら引き金に手をかけたからか敵は全く動じていない。
【コッチニコナイデ】
私の威嚇に対して青達はケタケタと笑いながら、繰り返し私が吐き出した台詞の復唱しはじめた。
コッチニコナイデ
コッチニコナイデ
コッチニコナイデ
言葉の意味を理解しているのかいないのか、私の怯える姿を喜ぶかの様だった。
銃の恐ろしさを知らないのかもしれない。
試しに撃ってみた。
一体が跳ねる。。腕にあたり、相当痛そうにする。その光景を見た2体は何か起きたのか分からない様子で接近をやめない。2発目、3発目が当たる。
3体はしばし悶絶した後、仲間内で分からない言語を話し合い。林の奥へ消えていった。
☆
山のふもと、街までくると、兵士の姿が見えた。
ドローンで調べた際、ある程度文明レベルは把握していた。現代人の服装だと異様に目立ち、不審者扱いされてもおかしくない。
もしこの世界が戦時体制中で兵士の神経が張り詰めているとしたら、捕まってスパイ容疑をかけられたりするかもしれない。できるだけ見つからない様に進むべきか、かといって隠れたままでは人探しは難しい。
『すみませんが…
「怪しい奴! そこで止まれ!」
言語が同じで安心、でも凄く警戒さている
「変わった格好をしてるな。どこから来た?名前はなんという?」
名前を隠しても仕方ないだろう。運良くクロノが保護されていて、私の名が兵士達に知らされている可能性もあるかもしれない
「私の名前はルッカアシュティア。ガルディア出身で、着ているのは東洋の民族衣装で着物といいます。」
あえて嘘はつかない。着物は狙いすぎたと思うが、この世界にアジア方面の文化が存在するかどうかも確かめておきたかった。
『奇人の発明家アシュティア家の者か…なるほど。だから不思議な格好をしているのか(笑)』
なんとなく好感触だ。
「赤毛のツンツン頭の男と金髪を結った女子を探しているのだけど。」
うっかり質問してみたけど?
「なに!?赤毛だと!?」
兵士の顔色が変わり、とたんに槍を構えた。私への警戒が強くなったらしい。
クロノ…一体何をやらかしたんだ??
私はロープでぐるぐるに巻にされ、どこかへ連行されてく。
〜兵士の詰所〜
クロノの居場所を尋問されはじめた私
☆
『貴様は魔族なのか?』
「まぞく?なんそれ?」
『魔族が人間に成りすましているのだろう?』
「意味が判りません。人間に成りすます?は?」
ルッカは私物を漁られた。
リュックの中には大切なものが入っている。いじらたくない。
兵士はスマホを手に取ると鬼の首をとった様に言い出した。
『やはりお前も王妃を誘拐した犯人の仲間だな。』
なんでそうなる?
「お前の仲間はこの鉄板の中に王妃様を封印したんだ!」
つまり兵士達の話によると、今朝から行方不明だったリーネ王妃が見つかったのも束の間、再び行方不明となったのだそう。リーネ王妃は部屋から忽然と消え、その部屋から出た者はクロノ以外には目撃されていない。クロノの私物を調べると鉄板(スマホ)にリーネ王妃(リーネと見た目がそっくりなマール)のインスタ栄え写真があり、そのスマホ(鉄板)にリーネ王妃を封印し誘拐した。そんな事ができるのは人外、つまり魔族しか有り得ないという事だった。
『だから貴様も人間に成りすました魔族だろう!』
兵士達のいう魔族。どうやら人間に変幻する魔族がいるらしい。その魔族は人間社会の言語も喋れたりもするそう。最初にみた青いエイリアンは人間語が喋れない魔族らしい。
「なるほど。しかし、仮に私が魔族だったら、堂々と街中をうろつかないで逃げてるでしょう。鉄板に封印する事ができるのなら、貴方達を封印して逃げてるでしょうよ」
「王妃様は部屋の窓から出てった可能性は?壁とか走れたり、空飛んだりする魔族がいて窓から誘拐された可能性は?」
「私やクロノを犯人とするのは決めつけよ。この鉄板は…写真という技術よ」
順を追って説明し、スマホの写真機能を説明する。
『貴様!言われた通りに私が鉄板を弄ると思うなよ! 仕掛けがあって、私が吸い込まれるかもしれないからな。』
「王妃様が誘拐されたとしたら、こんな事で油を売ってる暇はないんじゃない? それに王妃様を助けたいのに鉄板の仕掛けに恐れたまま不毛な時間を過ごすの? 王妃様を助けたい意志ってその程度なの? 貴方一人が鉄板に封印されても、代わりの兵士は沢山いるじゃないの。貴方が臆病で被るだろう不利益についてを私の責任にしないで。」
☆
なんやかんやと揉めつつもクロノと私は開放された。
クロノの話を整理するとマールの祖先がリーネで、リーネを捜さないといけないのか?
リーネ王妃が誘拐されたとして、どこに連れさられたのか…。
犯人が空を飛べば目立つし、人になり済ませる魔族なら人混みに紛れるだろうけど、それは兵士達が調査済みだろう。
さて、どうするか…。少女を見捨てて未来に戻ったら、リーネ王妃が存在しなかった時代になっているのか? 魔族なんているイレギュラーな世界だし、全く関与しなかったりするのか?
考えているとクロノが勝手に行動していた。
酒場をまわり、情報を集めている。
もし自分ならば、兵士たちの捜索が開始された直後、つまり王妃誘拐直後には目立った行動はしないだろう。できるだけ早くどこかに隠して、兵士が捜索に疲れ果てるまで待ってから目的地へと対象を運ぶだろうか。
クロノが街の人から聞いた話によると、マノリア教会が怪しいという。そこら一帯は元々ヤクラという魔族の縄張りで人々は近付こうとしなかった。にも関わらず、いつの間にか教会が出来ていて、誰もその教会の建設を目撃していないらしい。
つまり魔族が魔術的な技であっという間に建設したということか?
好奇心が爆発しそう。
でも一応、何らかの武器を装備していくか?
今度はエアガンでは対処できないかもしれないし。
☆
正式名称マノリア修道院。
高い屋根に、広い教会。
天井の宗教画を詳しく見ようとすると首が疲れる。
パイプオルガンは高さ10mはあるだろうか。
数名の修道女が祈りを捧げていた。ステンドグラス陽日。光の当たらないところはランタンからの明かり。
これを魔族が造った代物だとしたら、相当凄い。できたら友達になりたい。
「何かしらこれ?」
陽が少し傾き、照らされたなかった地面が明るくなる。何かが反射した。
首飾り?いや髪飾りか?
誰かの忘れ物かもしれない。
高価な代物。しかも、この修道院には地元の人はこないらしい。
怪しすぎる。
クロノも確信めいたものがあるのか、マールの名を叫んでいた。
〜カエルお化け〜
俺の足は王国一早い。
時速200kmは出せる。
魔王にこの姿に変えられたときは病んだし、合わない肉体に慣れるまで相当の時間を要した。が、慣れると人間には無い超越したパワーを得られた。
ヤクラの存在は俺も知っていた。教会は俺も怪しいと思っていた。だが容疑者二人ももっと怪しいから開放し、尾行してたら、案の定、教会に向かった。やはり王妃誘拐の犯人なのだろう。
しばらく容疑者二人の様子を眺めていたが、修道女に成りすました魔族と戦闘を始めた。仲間割れとは思えない戦いぶりだ。
☆
クロノはスマホを売り払って買った剣ファルシオンを二刀流で戦っていた。
中世ヨーロッパの代表的な剣
「ルネサンス期」(14世紀から16世紀)には、中世ヨーロッパの騎士が持つ、代表的な剣のラインナップが揃います。それは、長剣
www.touken-world.jp
ルッカはクロノお釣りで、16世紀製造のハンドガンを買っていた。
銃 - Wikipedia
ja.m.wikipedia.org
クロノは一人でエックス斬りをし、ルッカは遠距離から姑息に攻撃した。
互角の競り合いかと思いきや押されはじめる。現代人はひよっこであり、戦場に不向きだった。
☆〜カエル視点〜
「カエルが助太刀してくれた事には感謝する。でも近寄らないでー!」
久しぶりに心が傷ついた。
だが、そんな事より、王妃を探す方が先決だ。
☆
一通り探しても見つからない。
隠し部屋が何処かにあるのか?
魔族の一人を生かしておいて拷問にでもかければ良かった。
しかし、黒幕がヤクラであるなら油断ができない。背中を見せた一瞬のスキが命取りになりかねない。奴は俺の倍以上の速度を走れる。
見つけてもいつも取り逃がしていたが今度こそ逃さん。