トルースの山(マール視点)クロノトリガー
兵士1「こ、こんなところに王妃様!?
兵士2「見つけたぞー!王妃様が見つかったぞー!」
ゲートから飛び出してすぐの事、失踪した王妃を捜索する兵士達がマールを発見した。
山からの景色でガルディア城が見えていた。兵士達のいう王妃とは誰の事を指すのかマールには判らなかった。王妃、つまりは王の妻であるだろう自分の母はもうこの世には存在していない。10年も前に死んだのだ。
武装している兵士達。マールの知っている王国兵というのは祭事のイベント等で登場するパフォーマーの様なもので、剣を持ち武装している者らと祭事以外の場所で、しかもこんな山の中で相対しているのは不自然かつ不気味だった。
「王妃様、しばらくお待ちください。護衛兵が到着次第、王家までお連れします。」
マールがその場を離れようにも「危険ですので」と進路を妨害してくる。厳密には妨害ではないのだろうが、圧が凄くて、その場を離れにくい。
跪いている兵士に、再度、質問を繰り返す。
「貴方は一体何なの?」
「…と、申しますと?」
「貴方は何者なの?」
「…まさか頭をおうちに??」
跪いた兵士に顔を寄せたマール。下級の兵士は王妃の顔を直視してはいけない決まりがあった。マールは兵士の頭を掴み、無理矢理顔を上げさせた。
「よく見て! 私は王妃ではないし、人違いよ。私は千年祭会場に戻らないといけないの。クロノが待ってるの。コスプレとかの遊びにはつきあってられないの。」
兵士は困った。コスプレや千年祭等の意味不明の言葉への疑問。仮に王妃でないとすれば無駄に護衛兵を呼び出した責任も問われるかもれない。なんとしてもリーネ王妃であって欲しかった。
下級兵士にとっては許可なく質問することもままならず、迂闊な返答ができない。
マールは兵士の相手をするのを止めて山を降りはじめた。
そこに護衛兵が到着した。
マールは再び説明したが、護衛兵は万が一、王妃が他人の振りをして戯れている可能性を考慮して、聞く耳は持たなかった。王宮へ連れていかない場合、もし目の前にいるのが本当の王妃だった場合に起きうる責任問題を想定した。
王妃が他人の振りをして戯れているとしても、その過失を下級の者が責める訳にもいかない。
護衛兵もただただマールに追従してくしかなかった。
山を降り直ぐに千年祭会場が見える筈だったが無かった。
ここはマールの知っている世界ではない。クロノもいない。
マールが取り乱していると、王家の馬車が到着した。
放心状態か考える事を辞めたのか、マールはこの世界で王妃として扱われる事に関して抵抗するのを諦めた…。
あとがき
疲れたんだと思う。