クロノファン2022

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マールは母に相談した。

大臣が話も聞かないで警察に通報したこと。大臣は事情聴取が終わればクロノは直ぐに帰されると言っていたけど、あんな強引な大臣は今まで一度も見たことなかった。

母はマールの話を真剣に聞いていた。母もマールと同じで月間ムーは大好きだった。母は娘に家出されたショックもあって、とことんマールの話を傾聴した。反抗期なマールを上手く対処しなければ後々の公務に支障があるだろうし、また家出されるかもしれない。母はあえてマールの願いを叶える事にした。

外に連れ出す方法は一つしかない。母はマールを梱包し、速達便にて送り出した。。ちょっとした護身用としてスポーツ用のボウガンも入れて…。


ルッカの自宅にマールが届いた頃、ルッカは車の中にてラジコンを操縦していた。警察署内の排気口に盗聴盗撮ラジコンを入れて、クロノを探しまくった。魔法陣の上に寝かされたクロノと呪文を唱える怪しい者を見つけた。それは人間の姿をしていなかった。



クロノはどうする事もできないでいた。


ルッカはタバンの部屋から麻酔銃とダイナマイトを持ち出した。クロノが中世からも持ち出した日本刀を背負った。マールもボウガンを構えた。















夜がふけた。クロノはどうすることもできなかった。取り調べ室の窓には鉄格子がついている。たとえダイナマイトで爆発しても壊れないだろう。いや、むしろダイナマイトで破壊したら、その残骸で死ぬんじゃないのかとさえ思った。

クロノは魔族に語りかけた。世間話をした。悪いことばかりしてたら、お日さまに叱られるよと言った

非常ベルが鳴った。火災報知器の音。
火炎放射機を手にしたルッカは警察署で暴れ回っていた。
その隙にクロノがいる部屋へ向かうマール。魔族は避難しているかと思いきや避難していない。
フロアにいる警察官(魔族)に火炎放射で威嚇する。クロノのいる部屋のカギは掛かっていた。
扉は単なるドアらしく、ダイナマイト小で程よく吹っ飛ばせそうだった。

飛んだドアが中にいた魔族に直撃した。大きなダメージを与えたと思いきや、平気そうだった。元気そうな爬虫類の化け物だが、マールを見るなり人間に擬態した。麻酔銃を撃ち込むマール。
効き目が直ぐに現れる訳ではない。マールは日本刀を構えた。
化け物は携帯でどこかへ電話をかけ助けを求めた。
かけ終えると眠りについた。

手錠と縄がかけられていたクロノ。化け物の懐からカギを取り出してクロノを助けた。

ルッカは火炎放射で道を開けた。

天才ルッカの蛮行はメディアを騒ぎ立てるだろうが、そんな事おかまいなし。

警察官は威嚇の為にピストル上に向けて発射していた。。有名人であり国宝級の発明家ルッカに向けて発泡する様な勇気が有る者はいなかった。魔族でさえルッカには一目置いていて撃つ気にはなれなかった。マールについても手が出せなかった。本物の大臣らしく振る舞うためにも本物の大臣は生かしておいて人間関係や公務等の細かい情報を得なければいけなかった。マールに手を出せば大臣が言う事を聞かなくなる恐れがあり、マールを殺す事だけはしてはいけないのだと魔族達はヤクラに強く命令されていた。

かといって、おめおめと逃がせばヤクラから怒られてしまう。町中いたるところの監視カメラにも仕事振りが写し出される。せめてクロノだけでも捕らえなければならない。魔族は本気でクロノの確保に向かっていた。

一方で普通の人間である警察官の多くは、なんかおかしい、なんか事情があるんじゃないかと思ってクロノ達に道を開けた。

パトカーに乗った魔族らは交通網を封鎖した。
大臣の命令にて千年祭のゲート前にも魔族らが待機していた。








サイレン音が街に響き渡る。クロノ達は千年祭会場からは、まだ遠くにいた。都市部特有の渋滞に巻き込まれていた。
今後、どの道も警察に封鎖されて、その影響で更に渋滞してゲートまでいけないだろう。


空を見上げるとヘリが上空を旋回していた。

車は既にマークされていた。

「降りなさいそこの車!」

警告と共に旋回している。

程なくして渋滞をかき分ける様にパトカーがやってきた。
前後からサイレン音がゆっくり近づいてくる。

数分後、警察車両に挟まれ、クロノらの車は止まった

「こちらは発泡許可を得ている。速やかに降りなければ強行制圧する!」


マール「私の事を人質にして逃げよう!」

包囲しているのは魔族かもしれない。マール王女を人質にしても意味ないどころか、本格的に射殺されかない。

ルッカはハンドルをきり、道ワゴン車を森の中に入れた。

森の奥、行けるところまでいき、乗り捨て、闇夜に隠れて千年祭ゲートに向かう作戦だった。







凸凹な地面にワゴン車が浮かびあがる。

沢山のおいしげる木々、車のサイドミラーが幹に擦られながら、どんどん奥に進む

森の奥、車で行けるところまで行った。

しかし、警察犬の存在。

警察犬が森に放たれた。このままではクロノ達は追い詰められる。

車は既に行けるとこまで行き乗り捨てている。

森の奥に逃げ、話し合った。

今度こそ人質にとマールが言うが、その選択肢はなかった。
武器をマールに向けた瞬間、終わる気がした。クロノが死んでも世間では、とち狂った若者の蛮行として話題になるだけで、同情すらされず、撃った者は批判される事もない。遠慮なくクロノを撃てるだろう。

悲しきかなクロノの人生

クロノの視界が一瞬だけぼやけた。
涙で霞んだ目と思い擦るクロノ。目を擦っても目の霞は取れない。


「泣いちゃダメだよクロノ! まだ終わってない!」

マールの励ましに首をぶんぶんと横に降るクロノ。

「え? 泣いてない? 目の前の空間がぼやけてる?


調べるとタイムゲートに良く似た空間の揺らぎが見えた。


「これって、もしかして!」


王女を危険な道に連れ回すのは気が引けたが、王家が魔族に乗っ取られているのなら、この世界にいる方がマールにとっては危険なのかもしれない。

ルッカはゲートホルダーを手に取った。


ゲート先の安全を確認する余裕はない。千年祭ゲートは都合良く機能したけど、もし空の上とか、海の中とかにゲート先が繋がったりするなら…。ルッカはあれこれ考えて決断できなかった。

マールは考えるまでも無かった。過去の時代へ命をかけて助けに来てくれた二人。大切な二人が行くところならどこまでも行ける。『何かあれば今度は自分が助ける番だ!』と使命感に燃えていた。

クロノは危険を承知でスイッチを押した。とにかく魔族が怖すぎた。昨日と今日、魔族に舐められっぱなしで怒り心頭だった。このまま逃げきっても王女誘拐の汚名がつき、捕まっても魔族に殺される。どのみちこの世界に居場所が無さすぎる。いっそ、死んだ方がマシじゃないかと。三人一緒に心中するつもりでゲートへ飛び込んだ。