クロノファン2022

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ヤクラによるガルディア人に成り済まして王権を手に入れる計画は失敗に終わっていた。

ガルディア人は魔族が人間そっくりに擬態できるのだと知るなり、仲間同士にしか判らない合言葉を作るのを徹底したり、生活スタイルが変化した人間がいないかを互いに監視しあっていた。隙をみて王権を手に入れようと画策していたヤクラだったが、とうとうそのチャンスは来なかった。魔族と人間の戦争は魔族側の敗北で終わり、動かせる配下も少なくなってしまった。合わせて第一次世界対戦と第二次世界大戦も起こり、人間界の権力闘争もややこしくなり、戦後経済の急激な発展もあり、わざわざ人間関係のしがらみの多い王権を手に入れるよりも、民間人に成り済ます方が得策と考えてひっそりと生きていた。


人間に擬態する魔法は魔王様が生み出した。

我ら魔族の身体の中には魔のエネルギーがあるものの、そのエネルギーを使って魔法を使うという芸当は我々にはできなかった。魔王様は魔法の使えない我らに魔法が使える様になる方法を与えて下さった。
魔法陣というもので、決められた図形を書き、決められた呪文を唱える事で魔法が発動する。図の大きさや細かさで魔法は大きく変化し、細かいルールはあるものの、応用が効く便利なものであった。

例えば複雑な魔法は呪文が長くなりがちだが、呪文そのものを短簡略化してくれる魔法陣もあって、人間に擬態する魔法陣と合わせて体の一部にでも書き込んでおけば、【大臣チェーンジ!】と叫ぶだけて、いつでも擬態魔法が発動した。魔王様は我らにとっては神様な存在で、魔王様さえいてくれれば、我等は世界を牛耳れると思っていた。

長生きだったヤクラはテレビで千年祭の中継映像を観ていた。ゲートに呑み込まれた被害者二名(クロノとマールの画像)が画面に表示される。ヤクラには見覚えのある姿だった。一人は400年前のリーネそっくりの女で、もう一人は教会にてカエルと共にいた赤髪の男。ヤクラは配下のコウモリ魔族に命令を出し、時を越えられるルッカを尾行させた。

タイムスリップができるのだと知ったヤクラは、過去でやりたい事がいくつあった。

1.魔王様のラヴォス召喚を阻止し、人間の手から魔界を守ること

2.西側魔族(イギリスの魔族)に魔方陣の知恵を授けたら現代がどの様に変化するのかを観てみたい。

3,ヤクラはビネガー将軍の元、王都陥落作戦に参加していた。王都に向かう途中の砂漠でカエルと決闘をしたが互いに決着がつかず、負傷もしてしまい戦線を離脱し、故郷で静養していた。魔王城の防衛に参加できなかったのが悔やまれたので、カエルを打ちのめす事

いずれにせよゲートホルダーを奪わないとけないが、2に関してはコウモリを使えばゲートホルダーを奪わなくても可能だろう。

ルッカを襲って奪う事はできない。魔界の法律で社会の発展に寄与する者は人間といえど殺してはいけない決まりがあり、ルールを逸脱すれば重い刑罰が待っている。何よりゲートホルダーが故障したときに修理できるルッカに危害を加えられない

【魔族は食べる目的以外で人間に姿を見せてはいけない。】というルールもあった。
人間社会に不安を植え付ければ人口(魔族の餌)が増えなくなる。、人間が暮らしやすい社会を作る義務が魔族にあり、もし人に魔族の姿を見つかって、食べもしない、証拠も隠滅しないとなると、重い罰が待っていた。

コウモリ魔族の調べて、ルッカの住所はセキュリティが高かった。

ヤクラは考えた

クロノを誘拐してクロノとルッカの情報を聞き出し、クロノに成り済ます準備をし、ルッカからゲートホルダーを奪っつつ、おやつにクロノを食べる事を計画したが面倒くさく感じた。

その辺のゴロツキにでも成り済まして、クロノ宅に押し入り、家族を監禁。クロノのスマホからルッカのアドレスに電話をかけ『ゲートホルダーを持ってこないと一家を殺すぞ』と脅しをかける方が簡単そうだった。

しかし政府は千年祭前のゲートは危険とし、コンクリートを固めて封鎖した。